真似事――破れた包装紙/ただのみきや
 
家を出る秋の耳打ち襟を立て


空は澄み夢の骸か月白く


十姉妹通風孔を窺(うかが)って


靴の紐ほどけて結ぶ霜の朝


人気ない路を横切る枯れ落葉


見上げても暮らしが地平を隠すだけ


楽しみは売り切れ憂鬱が残る


お互いの上澄みそっと啜る日々


秋風を通す間もなく寄り添って


どこからか並木の傍に韮の花


猫の足枯葉の音も吸い取って


散って往く似合う帽子もないままに


にわか雨子らの遊びは止みもせず


「晩鐘」の色味に似ても祈らずに


吸いさしも想いも風に転がった


夕間
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