どうにもとめられない衝動/こたきひろし
母親の産道をやっとの思いで通り抜けた
力んで力んで激しい痛みに耐えてくれた
母さん
私は産声をあげた
「おめでとうございます。元気なおんなの子です」
私を取り上げてくれた助産婦さん
確かに私のお股の間には女のこの印
そして
私は
自分の生年月日を聞かれたら
即座に答えられるまでに成長した
でも
それがいつからだったかは
どうしても思い出せない
それを思い出しても
何の意味もないかもしれない
そんなの問題じゃない
だけど
女の人生の課題はヤマズミダ
私はその日
最大の登竜門をくぐらなくてはならなくなった
私はその夜
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