中秋の/本田憲嵩
 
そそくさと駐車場へと向かう脚、
そそくさと駐車場から向かう脚、
終わりかけの短い休憩時間と、始まったばかりの長い休憩時間が、
ちょうど低い丘の上にある玄関先の広い石段ですれ違うとき、
ちょうどその先の同じ高度にある、
昇りかけの、
一つの大きな赤い月こそが、
二人の共有する、
一瞬の球(まる)い心臓であり、
なにか、予感に満ちた、中秋の、
熱い太陽でした、


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