いきのいろ/すいせい
さいごの蜻蛉がいきをひきとった
かえりはくらい溜息で
宙返りする雲がふくらんで
そしておんなになったと囃したてる
くちびるはたくさんの蔦がからまるから
目のむきだけでゆくさきを伝えて
「いきはよいよいかえりは
かえるのは難しい、ね
はくちょうのむれ
やじるしの形で
これから子を授かるのだ
そらに溜息が凝って
あしもとをきゅっと鳴らした
うしろをむいて
慰めてくれるひとがいる
めせんをずらしながら
ついたいきのいろ
満ち欠けに忙しいお月さまが
やさしく殴ってくれるのを
待っている
まっている
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