生温き/AB(なかほど)
 


生温き句捻らむかと風の夜

私達は私達の進むべき道を
そんなこと判ってるのに
判っているのにどうして
こんなにも無為に時を過ごすのだろう
また、それを慈しむかのように
それもひとつの道だと
気づいたふりをしながら



虫の聲拠所無く柿晒し

冷蔵庫の裏から聞こえてきた
それは探しても見つからず
そんなことさえも
あの夜達の拠りどころだったと
今は
もぐ人もいない実のように
風に乾いてゆく



是式と齒咋しばり向かふ冬

なんてことない
という君の

きえない



CRISPR接ぐ竹の春CAS9

私達は

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