楽園の反対側/こたきひろし
 
の娘さんに代わったらしいから」
「病院では色々聞かれるよね?」
不安な思いで母親に尋ねた。
「聞かれたら困るような事あるの?何かしらね?」
「たとえば経験あるのかとかさ」
あたしは思いきって言った。
「経験って?」
母親は聞き、直ぐに気がついて
「あの事ね。あんた彼氏いるんだし、長く付き合ってるんだから、あって当然ないほうが変よね」
「正直に答えればいいじゃない」
と言った。母親は続けて
「あんた避妊だけはちゃんとしなよ。結婚してからならともかく、泣きをみるのは女なんだからね」
と、そこは語気を強めた。

そして父親は何も知らないままに、それから間もなくあたしは母親と一緒にガソリンスタンドの横から入る一方通行路に入って行った

戻る   Point(1)