真似事――愛・死体・秋/ただのみきや
 
愛死体秋すぐに冷たくなって


泣くように笑う男が書いた遺書


未来捨て過去と駆け落ち心中する


蝸牛踏めば悲しい軽すぎて


傘の花みんな流れて校門へ


ひっつめの少女の眼鏡に落ちるもの


涙なら傘も差さずに濡れるだけ


霧雨を含んで薔薇は項垂れる


砕かれた花器の欠片が想う花


目を合わせ言葉を交わし身は触れず


巡礼も放浪癖も根は同じ


魂の写し絵求め往く人よ


ハスキーの表情俄か読み取れず


ハスキーの鎖半径広すぎる


ハスキーに尻を突かれてアウと鳴く


愛希望平和に自由まだ
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