如雨露。ビー玉。くそったれ。/竜門勇気
ビー玉を一つ
如雨露の中に忍ばせて
散歩にでかけたら
まるで知らない人たちが
僕のことを話してる
甘いこと、冷たいこと
これは夏のこと
赤いこと、長袖のこと
これは夢のこと
出来上がった出来損ない
臭いのことを考えてた
裏返しになってる きっと
僕の内側は世界にさらされて
僕は自分の内側しかわからない
苦いこと、ザラザラしてるとこ
これは思い出の中の場所
柔らかいこと、落ち着かないこと
これは長い物語の最後のページ
花の上で手首を曲げる
如雨露から言葉が落ちる
固くて光を反射して
どこにも帰らない言葉
どこにも反射せずに
なんの景色も映さない
ビー玉がいつまでも
花びらに踊ってこぼれ落ちていく
なんだか甘い匂いがする
くそったれ
戻る 編 削 Point(0)