私は何を遺して?/日比津 開
 

あと幾つの作品を
残すことができるだろう?

もちろん、不朽の名作を
私が産み、残そうなどとは
少しも考えていない
だから、書くことは
少しの苦痛でもなく
ごく私的な狭い世界を
自由に楽しんで書くことができる

これが、死して私が遺せるものー
残した作品の中に
私は生き続ける
たとえ明日、私の命が奪われても
こうしていくことができたら、
この人生に少しの後悔もない


戻る   Point(2)