私は何を遺して?/日比津 開
 
私は何を遺して
この世を去ってゆくのだろう?
子や孫を残して?
しかし、彼らは別の人格を持ち
私からは離れた存在となり
年月の流れに
私はだんだんと影を薄くしていく

それでは映像や写真を?
確かにその時々の
私の姿、声は残る 
しかし、それは私の日常生活の
一端を見せるに過ぎない


それならば、詩やエッセイはどうか?
たとえ書き残しても
誰にも発見されず
一度も読まれないことは
承知している

しかし、そこには私の内面、思い
精神を映し、一瞬一瞬生きた証を
示すことができる
だから、詩、エッセイを今日も
こうして記す

死が私に訪れるまで
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