私は何を遺して?/日比津 開
私は何を遺して
この世を去ってゆくのだろう?
子や孫を残して?
しかし、彼らは別の人格を持ち
私からは離れた存在となり
年月の流れに
私はだんだんと影を薄くしていく
それでは映像や写真を?
確かにその時々の
私の姿、声は残る
しかし、それは私の日常生活の
一端を見せるに過ぎない
それならば、詩やエッセイはどうか?
たとえ書き残しても
誰にも発見されず
一度も読まれないことは
承知している
しかし、そこには私の内面、思い
精神を映し、一瞬一瞬生きた証を
示すことができる
だから、詩、エッセイを今日も
こうして記す
死が私に訪れるまで
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)