だから俺はなにものにもならないことにした/ホロウ・シカエルボク
発してみたい、風に消えてゆくものたちだけが本当のことを話している気がする、それは始まることがないし終わることもない、形になり得ないからどんなものにもなり得る、風に消えてゆくものたちだけが本当のことを話している気がする、そしてそれが消え去る直前に君の頬をかすめたとき、朧げな感触の中になにかが残されていることに、はたして君は気付くことがあるだろうか?風は何度でも吹く、でも生命には限りがあり、俺はいつかやってくるお終いのことを思いながら雄弁なその風の中を生きている。
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