だから俺はなにものにもならないことにした/ホロウ・シカエルボク
して育ってきた連中は自由に伸びてきたものたちよりもずっと青いかもしれない、ずっとスラッとして、美しい見惚れるようなフォルムを持っているかもしれない、けれどそれは言わば矯正された歯列のようなもので、伸びる中で培ってきたもののせいではない、限定された条件のもとで生きたものたちはそんなふうに、一見してとても秀でているように見える、でもそれは絞られたフォーカスのようなものだ、ある場所の美しさは激しく伝わってくる、でもそれ以外はひどくぼやけてしまう…美としてはそれは正しいのかもしれない、でも生としては間違いだと言わざるを得ない、それは嘘の生命だ、出来るだけたくさんのものを飲み込んで生きる、出来るだけたくさん
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