関ヶ原/日比津 開
 
いまから約四百年前
ちょうど今頃の季節に
徳川家康率いる東軍と
石田三成等の西軍が
天下を争った

もっと古くは壬申の乱で
後に天武天皇となる大海人皇子が
天智天皇の子、大友皇子の軍を
ここで破り、近江朝廷を滅ぼす

戦いの後、勝者の歴史が作られた
敗者の記録は片隅にしかない
しかし、僕には想像できる
落ち武者たちが伊吹山、鈴鹿山脈に
逃げ込み、さ迷った姿がー

果たしてどのくらいの人が
生き延び、命を落としたのか?
関ヶ原に沈む夕日は
ときに血の色のごとく
降る雨は涙が溢れているようだ

故郷にまで帰れなかった人の家族は
夫、父を亡くし死者よりも厳
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