シオンの妖精/丘白月
 

家に帰る時は言葉もなく
今は庭の紫苑を摘むばかり

忘れないでと妖精が言う
思ってあげてと妖精が言う

月光の下で私は摘む
静かな光が
背の高い紫苑を越えて
小さな風と一緒に
まつ毛を横切っていく

魂が戻って来たと思った
一つの和歌を私は歌う
十五夜草の歌を


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