夕焼けのポケットさん〜コメットさん/AB(なかほど)
 

眠りにきたの?
と訊きながら息子は
夕映えの犀川の堤から
ふんわりロケットを発射する
それはあまりにもゆっくりと静か
なのだけれど




夕焼けのコメットさん

すぐにテレビ番組の真似をしていた僕らには
ほんとに魔法が使えたのだろうさ
まさみちゃんは七色のクロトンの枝を折って
くるり くるり と回して
スペシウム光線をかわし
ついでに みんなの心をかきみだして
授業がつまらない
部活がつまらない
夏休みの宿題がつまらない
ほんとの夢がその先にあったことは
気づいていたのか気づかなかったのか
もう一度
七色のクロトンの枝を回すには
掛け算も分数の
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