クララ、貴女に会いたい/日比津 開
貴女の夫の作品には他の作曲家が
描くことができない輝きに満ちている
例えば、交響曲第2番の最終楽章
それまでの悲痛にも聞こえる旋律を
打ち消し、怒涛のように激しく
音楽を前進させていくところ
僕はこの曲を聴くといつも
感動ばかりでなく、元気をもらっていた
悲しみと喜び、不幸と幸せ
影と光のような対比がこの曲には
混在し、それが作品のすばらしさに
なっているように僕は感じる
映画のエンディング、貴女は
ブラームスのピアノ協奏曲第1番を
弾いている
まるで過酷な運命に立ち向かうように
必死の形相でー
そのとき、貴女は何を思いながら
ピアノに向かっていた
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