実存在と無存在と(存在の本章として)/HAL
 
ぼくらが見ているのは鏡に映ったかのような仮想現実だ
それは一見現実かのような様相を呈するがあくまでも現実ではない
ただ厄介なのはその仮想現実が
ぼくらの現実とぴたりと寸分違わず重なってしまうことだ

もしも仮想現実を何らかの方法で分離できるとしたら
仮想現実はすでに余りにも現実との密着性が強い故に
同時にぼくらの見ている否もっと正確にいうと
ぼくらもぼくらの現実も共に削除されてしまうことだ

それをどこかで食い止めないと
ぼくらのものではない現実がもうひとつ出来上がる
それらが急速であろうと緩慢であろうと連鎖は連鎖を生み
この世界の仮想現実と実際の現実がぴたりと重ね合
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