巡り会えない誰とも/こたきひろし
 
二階建ての一軒の建物が二つに分かれた貸借物件が住宅地のなかにうもれていた。同じ敷地内に平屋の一戸建ての借家が一軒があって、そこは若い夫婦が子供と棲んでいた。もう1つある家が大家さんの家だった。
国道から細い道に入ると間もない場所にその頃私は棲んでいた。
私が一人で借りていたのは棟が二つに分かれた貸借の片側で、もう片方に母親と娘が二人で棲んでいた。
母親は無職の様だった。娘は夕方出掛けて夜中に車で送られて帰ってくる。明らかに水商売か、もしかしたら風俗かも知れなかった。娘が働いて母親を養っているに違いなかった。とは言っても、私の勝手な想像ではあったけれど。
私は国道沿いのバス停からjR線の駅前
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