木の子の妖精/丘白月
雨に湿って緑色に光る苔の絨毯
落ち葉が油絵のように重なる
木の子の妖精が
森を覆う木の下で
光に包まれた種を撒く
落ち葉の下から
木の根から
苔の中から
可愛い傘を差した木の子が
伸びて揺れた
妖精は一つ一つ優しく撫でて飛んだ
「こっちにも木の子がいるよ」
ウサギが妖精に教える
「こっちの木の根本にも可愛い子がいるよ」
小鳥が枝から呼びかける
まるい傘が差し込む陽を浴びて
キラキラと輝く
人の来ない遠い森で
今日も木の子は
大きな木をを見上げて
「いつか私も空と一緒になれるかしら」
と背伸びをして妖精にお願いをする
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