幸せの玉/……とある蛙
幸せは昔掴むことの出来る玉だった。
それは時間が経つと色褪せ、
ついには砂つぶになってしまい
指の隙間からこぼれ落ちるようになった。
それは最初気づかないほど僅かで。
しかも気付いた時にはもう掴めないほど
手の中に砂つぶは残っていなかった。
その時、僕は砂つぶが時間そのものだとは気づかなかった。
つまるところ
幸せも時間の塊が光り輝いて
たまに見えたものだったのだ
だから手の中に砂つぶのなくなった今
床に落下した時間という砂つぶで山を作って
想い出と呼んで眺めている。
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