後から悔やむから後悔って言ううんだ/こたきひろし
 
晴らしていたんだろうな

俺は正直嫌いだった
だから一刻も早く家をでてしまいたかったんだ
逃げ出したかったんだよ

血と肉を分けた子供らみんな
そうだったんじゃないかな
不思議とお互いそれを口に出した事なかったけどさ

そんななかでも
いちばん可哀想に思えたのは母親だった
年がら年中ぐちぐちと言われ続けるばかりだけならまだしも、直ぐに手を出してはばからないんだから
よく耐えていられるなって思ってた

それが大人になって
相手を見つけて所帯もって、曲がりなりに夫婦の機微がわかるようになったら
男と女の事は
外見だけじゃあ解らないんだなって事に気づいたよ

母親
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