カシニョールの庭/la_feminite_nue(死に巫女)
 
水からほとばしる水しぶきが、その足もとにちいさな静寂をつくりだしていた。絵筆をもった、あの人は、おんなのひとのネックレスにだけ、気をとられている。あれを、どうやったらうばえるのかなって、少年みたいに考えこみながら。……あ、思い出したけれど、わたし、お姉さんがとばしてしまった帽子をつかまえて、古代の生き残りの鳩を手渡すように、それをあのひとにあげるんだった……。高層アパートが、道をわたった向こうの通りで、建てられている。かんかんと杭をうつ槌の音が聞こえる。ギターが、とおくのほうで鳴ってる。あれは、エレキ。


[カシニョールのイメージによせて]

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