カシニョールの庭/la_feminite_nue(死に巫女)
 
 深緑の庭園で、わたしは薔薇をつんだの。裸のおんなのひとがこちらを見ていたけれど、わたしは気にならなかった。なぜ? どうして? 「あの人は服を着ていない」って、ぽつりとつぶやいてから、藤棚の小道をかける。空がふかく、ふかく、青く澄んで、もしその扉をひらいたら、水色になるんだろうって、想えた。そう、パンドラの箱。裸のおんなのひとは、ゆっくりと微笑みではないような笑いを笑っていて、あれは画家のひとに媚びているんだろうって、感じる。だって、口紅はぬっているもん。乳母車をおしたお母さんが、あかるい日ざしをいっぱいにあびて、もうすこし赤ちゃんのうえに覆いをかけなきゃだめじゃない。それが、ちょっと心配。噴水か
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