或る夜 眺めのいい部屋から/HAL
拶に軽く笑みを返し
真っ直ぐに雲のような柔らかい絨毯を感じながら
スィーツ専用の奥のチェックイン・カウンターに行き
ダイナースカードを差し出して鍵を貰う
そしてそのまま部屋には向かわず
バーナード・リーチがデザインしたリーチバーの
カウンタに座り最初の一杯としてネグロニを頼み
そのビターさが口から消えた後はリーチバーならではの
ウォッカ・ギムレットを飲みスィーツ専用のエレベータに乗り
部屋に入り窓のカーテンを開けいつもの高級娼婦を呼ぶ
彼女が来る前にシャワーを浴びバスローブを着て
暮れてしまった街の散らばる光を眺めながら
たくさんのひとたちはしあわせ
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