空っぽの言霊たちへ/丘白月
 

良寛の詩に涙するのは
そこに嘘が無いから

まわりくどく何でも一言
別の言葉に置き換えるような
幼稚な発想が無いから

良寛の詩に涙するのは
そこに飾り気が無いから

日常の汚れた風景ばかりを
集めて乱暴な言い回しをしないから

良寛の詩に涙するのは
考える余地を与えないから

いつか中身のある言霊が
現代に現れる日を願って



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