A River/HAL
ありきたりに言ってしまえば
そう 川は人生そのものなのだろう
そう 川は生命の流れなのだろう
流れる水と水が寄り添うことは愛のよう
本流と支流に別れていくものは悲しみのよう
岩にぶつかり飛沫をあげる様は
まるで憎しみのよう
或いは血族の苦しみであるかのよう
或いは血族の繋がりであるかのよう
ぼくはそれを《A River Runs Through It》と
題された一本の映画で教えられた
川はいつもそれを通り過ぎてゆく
川はいつもそれを流れ過ぎてゆく
きみも遠い街で観ただろうか
ぼくには訳し切れないひとつの言葉を
きみはどう訳したのだろうか
ぼくは“It”を《時》と訳したけれど
きみは“It”を何と訳したのだろうか
きみのことだ《無》と訳したのかも知れない
でもきみはきっと
穏やかな笑顔を浮かべて言うだろう
正解も不正解もないのだと
感じたままが正解なのだと
それをぼくが知ることは
もう永遠にないだろうけれど
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