秋に出会う/日比津 開
僕たちは、人生の秋に出会った
もっと正確に言えば
冬を前にした晩秋を迎える頃と
言えるのかも知れない
あなたに出会う前
僕は冬を大急ぎで駆け抜け
終えることしか考えていなかった
しかし、いまは違う
もう一度立ち止まり、秋の美しい景色
紅葉していく様をゆっくりと眺め
楽しみたくなっている
たとえ、冬の木枯らしで
落ち葉が枯れる季節となっても
その道をしみじみと歩み
心を暖かくすることができる
残された冬は、どのような厳しさが
待ち受けているのか、僕は知らない
しかし、あなたが側にいてくれれば
ときに暖を取りながら
安らぎの中に休み
冬を越すことができよう
だから、もう冬を駆け抜け
短く終えても良いなどと考えていたことは
まったく消し去ることにしたい
あなたとの出会いによって
僕の春夏秋冬は
悲しみの内ではなく
喜びの中で完結できる予感を
いま強くしている
人生の秋の出会いが
どんなに多くの幸せをもたらすか
これから迎える日々が
本当に待ち遠しい
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