貧と富/こたきひろし
およそ人は
算数に支配されて
生きている
らしい
私に
数学は役に立たない
ワルい人
ワルくなってしまった人
ワルくなる可能性を秘めた人
そしてワルくなれない
善良な市民
皆が知ってる
無限に等しいかもしれない
お金のチカラ
豊かに生まれ
豊かに育ち
豊かに生きて
ある日
豊かに閉じる
豊かな葬儀に
豊かな死後
そんな人生
現実には
ほとんどないだろう
貧と富の比率
極貧と富豪との
間の距離感
ワルい人は簡単にお金に目が眩むのかもしれない
ワルくなれない人だって
お金には目が眩むさ
時と場合によって
人の心だって
お金で買えるから
ああ
夢も希望も壊してしまう
こんな詩は書きたくなかったな
もしも
私が富豪になっていたら
詩をかまっていられなかっただろうな
手に入れた富を失うまいと
必死になるばかりで
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