薬師草の妖精/
丘白月
彫師に言う
如来の背に似合うわ
金色の花が手渡され
じっと見つめる
ノミを持つ手に
妖精が祈りを込める
インドの夏はゆっくり終わる
薬師草はまだ咲いたばかり
遠い過去から白檀が魂を待つ
魂が宿った薬師如来が
二度目の秋に言葉を話した
ありがとう
お疲れ様でした
妖精は木くずを薬師草に変え
天井から降らせた
金色の如来が彫師を見つめた
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