家庭内悲話/こたきひろし
女は男より先に起きて
朝食の支度して
出来たらまだ寝ている男のところにいって
耳元で甘く囁く「時間よ。あなた起きて朝ごはん食べて」
言いながら男の口に接吻した
そしてためらいながら「昨夜は良かったよ」って余韻を匂わせた
それがね
それがね
結婚前の男の想像に過ぎなかったなんてあんまりじゃないか
炊事洗濯掃除
そしてちょめちょめをつつがなくすませてくれるのが
女の役目
家庭を維持する最重要なサービスの提供の上に成立すると信じてた
確かに結婚当初はそれが実行されていた
それがずっと実行されると
男は信じてた
しかし
その内にひとつふたつとほころびはできて段々に増えていって
そこから先は文字にしたくない
家庭内の悲話
卑猥じゃなくて
女は子供を産むと一変する
鎧をきた戦士になって
男を従える
恋愛詩からはほど遠い
家庭内悲話
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