再起/安部行人
 
まだ時間はある、
燃え尽きるまでには。


おれは長いあいだ炎ではなかった、
静かに灰になっていこうとしていた。


おれは夜に黒く燃える太陽を見た、
重力の暗さを持ったフレアがのたうっていた。


おれは地下から吹き上がる風のなかにいた、
夜に亀裂を走らせて歌が聴こえていた。


おれは言葉を浪費していた、
だがもう灰になる言葉もなかった。


おれは見ていた、
最後の人間が橋を渡ってゆくのを。


おれは再び炎を感じた、
血のかわりに指先から火が滴った。


おれは再び灰から言葉をつくりだした、
燃える火で焼きつけるために。


まだ時間はある、
燃え尽きるまでには。
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