万聖節の妖精/丘白月
 

柳の枝を揺らして
魔女が飛んで行った
魂が光の輪になって
チェリーパイを照らす
先住民が掘った井戸から
浄めの水を汲む妖精
占いの蝋燭がいくつも
聖水に立てられ
ハロウィーンが始まる
魔女が過去の魂を
ゆっくりと歌うように
月を見上げて読み上げる
蝋燭を囲んで踊る妖精
どこかで誰かが鐘を鳴らす
古びた教会のステンドグラスに
月の光線が溶けていく
朽ちた村の教会でパイが焼かれ
魔法使いたちは夜明けまで
魂とチェリー酒を飲み
占いを繰り返す
妖精はクリスマスまで
良いことがありますようにと
この小さなアイルランドの森で
聖水に顔を映して祈る


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