自由の女神/ただのみきや
 
言葉のフェイクを削ぎ落し
白骨化したあなたを抱いている
突風にあばらが鳴ると
手を取ってかちゃかちゃ揺らしてみた
骨盤に唇を押し当て目を瞑る
あなたは眠りからさまよい出た夢で
青いインクで描かれた挿絵の薔薇の匂いがした
涙のように 冷たい夜が
美しい眼孔から溢れていた
わたしは
一抹の不安という命綱をとっくに捨てていて
肉体が地下水になることに慣れていた
ただ固い石だけが永劫の苦しみとして
全ての取引を拒んで袋の中に在り続けた
言葉が枯れて散る頃
虚無に絡みつく黒々とした欲求だけが露わになり
錠剤ひと粒ほどの救いを
あなたの骨に求めたのだ
どこまでも展開し続ける
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