未成年と成年のはざま/こたきひろし
ぜったい有るって信じてた
子供と大人の境界線
現実は
体がかってに大人になって
心はそれを必死に追いかけた
オールナイトの映画館は
成人映画ばかりを上映してた
体がかってに大人になって
心はそれを必死に追いかけていた
土曜の夜にアパートに帰らなかった
映画館で一夜を明かした
館内はいつも通り客は疎ら
そして
いつも通り男たちばかり
立ち込めた陰湿な空気
立ち込めた変な匂いからは
男たちの体臭が入り交じっているに違いなかった
十九と二十歳
その間に決定的な子供と大人の境界線はあったのか?
たしかに法的には
未成年と成年
それを祝う儀式はあったけれど
体はかってに大人になっていった
心はそれを必死に追いかけた
そのズレに誰だって苦しみもがいていた筈だ
すべては未熟だった
あの時代を
青春と呼ぶなんて
笑える
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