果樹園/
こたきひろし
いていった
中身は登校を促していた
でもそれは
担任に頼まれたからに違いなかった
クラスメートはみんなあたしをはぶいていたんだから
ある日
民生委員を名乗るおばさんがたずねてきた
あたしは両の耳をふさぎ
母親は玄関のドアを開けなかった
あたしは果樹園に苗木を植えられて
育った林檎じゃなかった
背中に羽がはえてもいなかった
ヒトに産まれて女に育っていく
その課程に
ちょっと黒い歴史があっただけ
黒い歴史があっただけ
戻る
編
削
Point
(6)