悲しみからはじまる物語/
こたきひろし
た時は
舌の下で溶かして飲んで欲しいと
ニトログリセリンを出された
いつもその時に備えて
肌身離さずに
この先
私は自分自身にも
取り外しのきかない爆弾を
仕掛けられたと
認識しない訳にはいかなくなった
死ぬ夢なんて
誰でも見るさ
俺だってよく見るよ
気にするなよ
と
彼女に言いながら
私は心臓のざわめきを
感じない訳には済まなかった
人間の恐怖は死へと死へと
繋がってしまうのは
確かである
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