オニヤンマ/梅昆布茶
季節は流れ詩は座礁して
はるか太平洋の真ん中の島に流れ着くだろう
いきることが何かの証明ならば
返す言葉がつまづいたままでいきてゆこう
あるいは人生に返す言葉を紡ぎながら
座興だなんて
生きることを踏みにじりたくもないので
ぼくときみの邂逅が46億年の証明ならそれでよい
だけど君の背中に羽がついていないのはぼくのせいではない
そういった羽を供給する会社の社員ではないのだから
ぼくは優しい気持を維持できない時代がずっと続いている
雨あがりの森のなかの木漏れ日みたいなのがほしいんだが無理なんだ
おどけてみても採用されない道化師がせいぜいかもしれない
この詩がどこかにとどくのならば
きみのもとにそっと送ろう
ぼくは寝たふりをしてそれでも
十数年ぶりにみたオニヤンマがおしえてくれた空気の重さみたいな
きみの静かな振動に触れてみたかったのかもしれない
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