妖精のブールドロ/
丘白月
満月の夜に摘んだリンゴ
恋を失くした子と一緒に
眠れない夜に香りをつける
丸ごとパイで包んで
パパのラム酒をこっそりと
窓から見えるリンゴ畑に
月が降りて遊んでる
跳ねる虫の影は宇宙船
バターが果汁に溶けていく
焼きあがりの煙が月を隠す
失恋の痛みは私が代わりに
忘れずに持ってあげるから
このブールドロを食べて
ゆっくり心の荷物を軽くして
苦い実は甘く酸っぱく
戻る
編
削
Point
(0)