過ぎゆく夏の/秋葉竹
 

突然の驟雨に 洗われた街は

なんだかとても色っぽくて

雨上がりの 空気の色を

すこしさみしげな 茜色に染めるのです

地に這う けものの しずかな息吹きが

いつのまにか しみわたる たそがれの街


「だから、死なない意味をください」


世の中の たけきけものたちよ

懺悔もできない罪の首すじを

神さまの御手が 病みながらでも

くるみこんでくださるとき

《新月が煌々と光り輝く》という

月の優しい嘘は

みるものすべてを勘違いさせたまま

世界を裏切りつづけることでしょう



新月は雲に乗り 秋に会えるけれど

真夏の夜空の 大きな三角形を

どうしてもみることができないままでしょう






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