エミールとアリサ/la_feminite_nue(死に巫女)
」。エミールは答えます、「存在する。一人の人が欠けても、社会は社会だ」。アリサは反駁します、「あなたはやはり矛盾している。わたしを含まない社会を広げていけば、あなたを含まない社会、彼らや彼女たちを含まない社会もできてしまうのです」。エミールは言いました、「それでもやはり社会は存在する」。アリサは言います、「あなたは、あるもののなかにないものを見ています。ないもののなかにあるものを見ているのです」。エミールは答えました、「そうだ。あるものはない。ないものはある。それが社会というもののあり様なのだから」。アリサは悲しげに言いました、「わたしを知るということは罪なのですか?」。エミールは答えました、「君は、永遠の罪のなかに閉じ込められるだろう。僕は、永遠の解放のなかで社会というものを知るのだ」。アリサとエミールはともに死すべき存在としてあり、いつかこの世界から消えるでしょう。白鳥と百合の花だけがそれを知っているのです。
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