どうして時々どこかに出かけるのだろう/ホロウ・シカエルボク
安いキャリーバッグの
硬質プラスチックの車輪が
まばらな拍手のようなリズムで
旅行者の孤独を連れて歩いている
バスターミナルは蒸し暑く
分厚い屋根に覆われている
様々な方言や言語が
異常発生したムクドリの鳴き声みたいにそこらで飛び交ってる
汗をかきすぎたシャツは身体に張り付き
清潔な動物園のようなにおいをたて始める
喉は掠れていて
飲み物を口にしたいけれど
バッグの中のペットボトルは
バスに乗るまでは取っておかなくちゃ
ホテルのベッドはいくら快適でも
うまく眠れた試しがない
見知らぬ場所での疲れは独特で
住処に帰るまでそれだと気づくことがない
どうして時々ど
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