まねごと――やすらかに老いる町/ただのみきや
翅を欠く揚羽と並び歩く道白磁と見紛う骨の白さ
すずやかな朝にまどろむ娘たち夏の火照りを蓄えたまま
安全も安心も不安あっての約束手形不渡りもある
今朝はまだ世間の目には止まらない明日の事件の主人公たち
嵌らないパズルのピース無理に嵌め不明不安を和らげながら
解明し分類すれば皆の腑に落ちる知見者識者のつとめ
事実とは形(かた)を持たないのっぺらぼう好まれるのは理解しやすさ
澄み切った諦念の青さ結び解ける夢を遠く運び去り
やすらぎは白刃の心に映る空願い祈りの届かぬ所
足跡も指紋も残さず奪い取る盗癖にも似た物忘れ
電柱に
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