ノートルダム大聖堂の妖精/丘白月
 
パリの妖精
第13話「ノートルダム大聖堂の妖精」



バラ窓から差す
万華鏡の陽を浴びたら
私はもう死んでもいい

言葉はいらない
人生の道が
いや私の歩いてきた道など
ふさわしくない

天使がふりむいているか
どう見てもわからない
天国の入口だろうか
あのバラ窓は

ステンドグラスの羽根
妖精の巣のようなバラ窓
福音書の束を抱えて
使徒となり飛んでいく

セーヌ河岸の夜景を風が歌う
流れるネオンをなぞる妖精
ノートルダムの鐘が鳴り響く

妖精がそっと降りてきて
私の涙を拭いてくれた

明日一緒にバラ窓を見に行こう
そう言ってくれた

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