メモ/はるな
は二枚が灰色になってしまった。ゆびも、てのひらも。寝そべってるみたいなねこやうさぎ、手のひらにのるくまが抱えている小さな植木鉢。わたしはそこに枯れかかっている多肉植物をいれて、水を吹いたよ。
ところで鍋のなかでぐったりと得体をなくした野菜たち、それをさらに潰すように混ぜ返し熱気を浴びるとき、やっぱり嫌なことはおもいださない。冷蔵庫の中身とか、かばんのそこのレシートを捨てなければとか、実用的な思考が混ぜ返されている。木のへらでぐいっと持ち上げると鍋底が見えるのでもう火を消して、かなしいニュースは見ない、自転車のかぎを持ってむすめをひろいあげに行きます。
こんどのまちには人がたくさん住んでいるので、音もたくさんにある。窓や壁もべらぼうにありながら、草木だって静かじゃない。
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