妖精のスフレ/丘白月
 

雲をひと掴みメレンゲにして
チョコレートを溶かして
レモンを一切れ
釜戸の小さな窓を覗く
膨れてきたら食べて頂戴
軽い気持ちはあっという間に
しぼんでしまうから
急いで食べて欲しいの
あなたはいつもそう
冷めたスフレカップを持って
匂いさえ消えてしまって
美味しいねと言うけれど
それは本当の私の心じゃない
熱い気球に一緒に乗って欲しい


戻る   Point(3)