明るい夜/
都築あかり
蕩けてしまった君の体温を
両手でかき集めようと、
必死にもがいたって、こぼれ落ちる。
そんなものを僕はもう、
忘れてしまったのかもしれないね。
記憶なんて、きっとそんなもの。
風。虫の音。そして星になった君。
それなのに今日は満月だから
君が幾ら瞬いていたって、
誰からも気づかれない。
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