アフター フェス/
末下りょう
水平線のような雨に沈むステージに ヘッドライナーは来ない
透明なレインコートのフードを叩く光のかたさが
右の頬を歩き
左の耳から
プラグを抜いた足音がいくつも遠のいていく
引き潮のように
濡れた芝生に
絡めた指さきを滲ませて
ぼくたちは砂混じりの口と口で見つめ合う
ヘッドライナーの来ない 水平線のような雨に浮かべた耳を
青ざめた鼓動が
夏の日のラストナンバーに押し流すあいだ
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