新宿2丁目のうた/梅昆布茶
ぼくのてのひらには何ものこってはいない
かどわかした王女を高い塔の小部屋に幽閉している以外は
王女の手のひらには小ちゃな貝殻と等分の人生の重み
新宿2丁目で飲み潰れている僕はいつか夢の中で
ジムモリソンみたいに歌っていたのかもしれない
毎日がstrangedaysで
だれも立派な楽器は持ってはいないが
すべての音楽を聴きたいとおもう
半世紀前に世界が変わったのは
ジミ・ヘンドリックスのせいだった
そしていちばんせつない歌姫は
ジャニスなのかもしれないのだけれど
哲学という重機ではほりおこせない
曖昧な岩盤が埋蔵された心で
ぼくのてのひらにはなにも残ってはいないさ
かどわかした王女以外にはたぶんね
だれも震えないで欲しい
ときどきは優しい雨にうたれてもいいじゃない
ときどき君のうたを盗みにゆくからさ
ビリージーンみたいに
あるいはマイケルみたいに
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