いつだってそれは過去形で語られるものだろう/ホロウ・シカエルボク
 
間でもないさ

救急車のサイレンがじめついた街にこだましている
見知らぬ誰かの死も、親の死も友の死も
テレビに出てる誰かの死だって
俺の目に耳にとまるならそれは俺の死なのさ
俺が死ぬとき、俺は
俺の死を見るだろうか
コミカルな調子でふわふわと中空に浮かんで
俺の死を悲しむやつらを眺めているだろうか
出来れば大変な思いなんかしないでくたばりたいものだが
いつだって望み通りにことは運ばないものだ

気がつけば夏が終わろうとしている
蝉の声は
消えかけた入道雲を追いかけてゆくようだ



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