北アメリカから来た女/末下りょう
 
しながら英語で呟いた。
爽やかな朝に世界中の人々がこれを食べるようになったら、わたしはもう生きていけないわ、みたいなことを。
じゃれるようにもめた挙げ句、女は納豆巻きを友人のサンドイッチと交換して、コーヒーで流し込んだ。

日中は蝉がまだ激しく鳴いているけれど、夏もそろそろ終わりで、涼しい夜にこれを書きながら聴こえてくる鈴虫の鳴き声は結局耳鳴りだった。

北アメリカから来た女は、あれから数日を友人と過ごし、深夜の高速バスで次の街に消えた。

彼女はあおさの味噌汁を気に入って毎朝飲んだらしい。
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